研究者所属および氏名 |
研究テーマおよび研究概要 |
新潟大学大学院 医歯学総合研究科
松山 順子 |
「小児の成長に伴う一口量と咀嚼回数の変化に関する研究 」 |
食事における"一口量"や"咀嚼回数"は、嚥下直後の食物性状に影響を与えている。一般に、一口量が多いと丸のみになりがちであると推測されるが、それが本当なのか、特に小児に対する研究は例がない。本研究は、小児の発達段階に応じた適切な一口量および一口咀嚼量を探り、摂食指導の指標とすべき基礎を築き得るものである。
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滋賀医科大学 社会医学講座 公衆衛生学部門
藤吉 朗 |
「死亡リスクが最も低い総摂取エネルギーに関する疫学的検討 」 |
エネルギー摂取制限は、哺乳類を含む多くの生物において寿命を延ばすのみならず、高血圧、糖尿病、癌などの慢性疾患の発症を遅らせることが示唆されている。ところが、ヒトを対象とした知見でこのことを証明するものは少ない。本研究は、こうした背景を踏まえたうえで、日本人を代表する二つのコホート研究(NIPPON DATA 80, NiPPON DATA 90)を用いてエネルギー摂取制限が慢性疾患予防および寿命の延長に有効であるかどうかを検証するものである。
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富山大学 医学部 小児看護学講座
長谷川 ともみ |
「小児看護学講座幼児期における朝食の食欲の関連要因について」 |
幼児期における朝食摂取の重要性を、その摂取が特に子供の食欲に与える影響から考えようとする研究。富山県という特に女性の就業率が高い地域特性も考慮し、働く母親への援助ニーズにも応えようとしている。
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静岡県立大学大学院 生活健康科学研究科
成川 真隆 |
「身体の生理状態が食行動に与える影響 ~運動性疲労と味覚感受性の関係~ 」 |
本研究では、運動性疲労による生理状態の変化が味物質に対する感受性(味強度と嗜好性)にどのような影響を与えるか、その究明を目指す。マラソン後などの、強度の疲労状態におかれたヒトでは、どのような味質・濃度が好まれるか、同一物質から感じる味強度はどの程度変化するのか―。運動性疲労を官能検査法により定量的な測定・評価を目指す本研究により、たとえば、『乳酸値が高ければ、低濃度より高濃度の甘味が好まれるので、甘い味付けの食事を提供する。』など、科学的根拠に基づいたテイラーメイドな栄養供給を実現し得るであろう。
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東京女子医科大学 糖尿病センター
中神 朋子 |
「特定検診の要支援群に対する既存の生活習慣介入法の血糖降下作用の評価」 |
本研究では、日本糖尿病予防研究(JDPP)で採用された糖尿病発症予防のための介入手法が、特定検診で支援群に割り振られたものに対して有効かどうかを検証しようとする"challenging study"である。
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福岡大学 医学部 公衆衛生学教室
田中 景子 |
「栄養摂取状況と歯周病との関連に関する疫学研究」 |
生活習慣病のひとつと捉えられる"歯周病"は、日本人の歯牙喪失の主な原因となっている。また近年、海外における疫学研究によって歯周病が心血管疾患や低体重児出生のリスク因子であることが報告される一方、日本人におけるエビデンスは未だに質・量ともに乏しく、その蓄積が急務となっている。本研究は、予防医学(疫学)的観点から、栄養摂取状況と歯周病との関連を高いエビデンスレベルで評価・提供することを目指すものである。
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城西大学 薬学部 医薬品安全性学講座
金本 郁男 |
「低GI食の最適な摂取タイミングの探索と食事指導への応用」 |
前年度、本研究者はやずや食と健康研究所の研究助成を受け、『低GI食の摂取順序が食後血糖に与える影響』について検討し、"ごはんより先に野菜サラダを食べた方が、食後血糖が有意に低くなる"ことを示唆する結果を得ている。本年度は更に、野菜サラダとカレーライスという現実的な食品の組み合わせでも食後血糖値上昇を抑制できるかどうか、検討を進める。
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徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 臨床栄養学分野
奥村 仙示 |
「高GIである米を主食とした日本食を低GI化する食べ方についての研究」 |
日本で主食となっている白米は、パンやパスタに比べてGI(グライセミック インデックス)値が高いことが知られており、主食である米飯を低GI化するための工夫が必要である。本研究では、伝統的な日本食(納豆、おくら、長芋、じゃがいもなど)を用いて、どのような食品の組み合わせが食後高血糖に効果があるかを丁寧に検証する。
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国立成育医療センター 母性内科
入江 聖子 |
「肥満妊婦における至適栄養管理に関する検討」 |
本研究は、妊婦糖尿病や妊婦高血圧症候群、巨大児や異常分娩などのいわゆる"母児合併症"を予防し、児が適切に成長するための肥満妊婦の至適体重増加量を前向きに検討する "丁寧な観察研究" である。また同時に、肥満妊婦の食生活パターンや運動、QOL、ストレスの変化等も合わせて検討し、女性が改めて自分の健康に関心を持ち、不適切な生活習慣を改め、母親自身と胎児にとって良い生活習慣を習得する機会を与え得る研究である。
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慶応義塾大学 医学部 老年内科
新井 康通 |
「超高齢者における骨格筋減弱症の発症と食習慣の関連についての包括的検討」 |
本研究では、超高齢者の骨格筋委縮症の発症と食習慣・栄養摂取との関連を、食事摂取頻度法、運動・生活習慣、口腔機能評価により包括的に検討し、当該疾患予防に有効な栄養介入法の開発を目指す。我が国における超高齢者に対する栄養疫学のエビデンスはほとんどないため、本研究により超高齢者における栄養調査の妥当性が確立されれば、今後、超高齢者や施設入居者に対する栄養調査へ幅広く応用が可能となるばかりでなく、"食を通じての健康長寿"を達成するための画期的な研究となり得る。
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