福岡大学 医学部
公衆衛生学教室
田中 景子
「「栄養摂取状況と歯周病との関連に関する疫学研究」」

◇助成研究評議委員

歯周病の原因に関する疫学研究は徐々に増えてきていると思われるが、栄養素摂取量との関連を定量的に調べる試みは極めて先駆的であると思われる。予定客体数がかなり大きく、実施ならびに質の高い情報の収集には相当の困難が伴うことが予想されるが、それを乗り越えて、成果を上げることを期待したい。

◇助成研究評議委員

歯周病は罹患率の多さと、生活習慣病との関連で、重要な課題となっているが、食物摂取との関係について明らかとはいえはない。高齢期のQOL向上のためにも、歯周病の予防は大切であり、食物摂取状況と歯周病との関連に関する疫学研究は有意義と考える。

一般の人を対象に平均的な食物摂取状況を調査することは困難であるが、申請者は平成19年度より「九州・沖縄母子保健研究」において、10~30代女性を対象に調査を開始しており、調査研究体制も整っており、研究の遂行が可能な状況にある。最終的には、対象者が1700名前後になるという貴重な大規模調査データになることから、栄養素摂取と歯周病との関連も明らかになるのではないかと期待している

◇助成研究評議委員

歯周病は心血管疾患や低体重児出生のリスク要因ともされる生活習慣病である。また、歯周病は口腔内の疾病でありながら、栄養素との関係を調べた研究があまり見られない。この研究は、歯学と医学の両方の知識を持つ田中氏ならではのアプローチといえる。歯科衛生士との連携によって、客観的に歯周病を評価する方法論も検討済みである。

『九州・沖縄母子保健研究』という大規模なコホート研究の一環であり、独自の研究に対する助成とはならないため、採用しにくいところもあるが、助成金の使途などが明確であり、有効に使われることが期待できる。