徳島大学大学院
ヘルスバイオサイエンス研究部
臨床栄養学分野
奥村 仙示
「「高GIである米を主食とした日本食を低GI化する食べ方についての研究」」

◇助成研究評議委員

海外では食事内容(特に栄養素組成)が食後血糖上昇に与える影響に関する研究はすでに多いが、日本食を用いた研究は乏しい。この研究は日本食の特徴と食後血糖上昇の程度とを結びつけたユニークな研究である。この分野でしっかりした知見はまだ得られていないため、研究成果(学術論文)を期待したい。
ただし、安易にニュートリゲノミックスに答えを求めるのではなく、日本食の特徴と食後血糖上昇の程度との関連に関する基本的な知見を着実に明らかにし、報告(原著論文化)することを期待したい。

◇助成研究評議委員

2008年4月より、厚生労働省主導で特定健診・特定保健指導が開始された。これは現在のわが国での国民の健康対策として、がん対策と共に重要課題として叫ばれているメタボリックシンドロームに極めて大事なことである。

がんに次いで多い死亡の原因は、心臓血管系の動脈硬化に基づく諸疾患であり、この予防・進展阻止こそが急がれる課題である。奥村氏は、日本食におけるグライセミック・インデックスの利用に注目しており、主食である米飯をいかに低GI化させるかについての研究を計画している。
 
主食である包装米飯と諸種の副菜との組み合わせで、食後の血糖値の変動がどのように変化するかを検討するとしている。 さらには、米飯に各種の程度に麦を配合することにより、食感を保ちながら、食後血糖値の抑制を得られる配合比を探索しようと計画している。その成果に期待したい。

◇助成研究評議委員

「何を」「どれくらい」「どのように」食べると「何故」良いのか、科学的に明らかにしようという姿勢を評価したい。食品個々のGI値ではなく、実際に食されている状況や日本食という視点から、高GI食である米飯と組み合わせて摂取される食物が、食後血糖上昇に与える影響を明らかにし、生活習慣病の予防に役立てようというユニークで、実践的な研究であり、その研究成果に期待したい。

科学的根拠に基づく、生活習慣病予防のための栄養教育や食生活改善支援に役立つ、しっかりした学術論文を発表して頂きたい。

◇助成研究評議委員

近年、糖尿病の血糖管理として注目されているのは、空腹時血糖値よりも食後血糖値である。食後の高血糖は有害であることが示唆されており、食後高血糖に大きな影響を与えるのがGIである。米は、GIが高いことが知られているが、日本人の主食であるために、食生活から遠ざけることはできない。米のGIを低くする工夫は、糖尿病を予防する上で重要な対策である。

奥村氏は、GIに影響を与えるターゲット遺伝子の解析の研究も含めて助成申請をしてあるが、当研究所としては、研究題名にある「米を主食とした日本食の低GI化」に期待したい。