2009年度助成研究SUBSIDY WORK

(50音順・敬称略)

研究者所属および氏名 研究テーマおよび研究概要
静岡県立大学大学院
生活健康科学研究科
フードマネジメント研究室


若杉 悠佑
「雑豆類の摂取が白米を主食とする食事のGIに与える影響」
食後血糖上昇能の指標であるGlycemic Index(GI)は、生活習慣病予防の観点から注目されている。豆類はGIが低い食品として知られるが、日本国内で生産、消費される豆類、特に雑豆類のGIに関する研究は少ない。そこで、本研究では健常成人を対象に、高GI食品である白米を主食とする食事の食後血糖値およびインスリン分泌に雑豆類の摂取が及ぼす影響について、雑豆の種類に加え、調理方法の観点からも検討する。日本の伝統的な食品であり、栄養学的にもすぐれた豆類のGIについて検討することは、生活習慣病の予防を目的とした食事のエビデンスの蓄積に貢献するとともに、日本人を対象としたGI研究の推進に寄与すると考えられる。


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長崎県立大学大学院
人間健康科学研究科

山本 亮
「肥満遺伝子認知が食意識・食生活状況に与える影響」
遺伝子に関する研究の目覚しい発展により、アメリカやヨーロッパでは、遺伝子解析結果を実際の栄養指導に活かすような教育と実践が数年前から開始されている。ところが、日本では余り取り組まれていないのが現状である。そこで、本研究では、肥満遺伝子として代表的なβ3アドレナリン受容体遺伝子やβ2アドレナリン受容体遺伝子、脱共役タンパク遺伝子を用い、これらの肥満遺伝子の認知が食意識や食生活状況へ与える影響を検討し、有効な栄養介入プログラムの開発を目的とする。わが国における肥満遺伝子を用いた集団介入研究はほとんど見られず、本研究により栄養介入プログラムの効果が得られれば、それぞれの遺伝子に合った食生活を送ることができる時代の一助になることを期待する。

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東京慈恵会医科大学
リハビリテーション医学講座


百崎 良
「トロミ水を用いた嚥下障害評価に関する検討」
疾患や加齢に伴う嚥下機能の低下により、摂食・嚥下障害を呈する患者が増加している。嚥下障害者では、経口的に栄養摂取することが困難なことがあり、適切な栄養状態・健康状態を維持するために誤嚥を起こさない食品選択が必要となってくる。近年、様々な嚥下機能障害のスクリーニング検査法が開発されているが、これらは経口摂取開始可能かどうかを判定するものばかりであり、実際の食形態を考慮したスクリーニング検査法ではない。本研究では異なる粘度のいくつかの"トロミ水飲みテスト"を行い、まずトロミ水の最適粘度を決定し、次に最適粘度のトロミ水が誤嚥なくペースト食を摂取できるかどうかのスクリーニングに使えないか、を検討する。



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東京医科歯科大学大学院
医歯学総合研究科

望月 裕美
「手術を施行された口腔癌患者における摂食嚥下機能の状態,食事内容,これらとQOLとの関連性の検証 」
口腔がん患者の摂食嚥下機能の状態,食事内容,これらとQOLとの関連を調査して患者の現状を把握し,術後の日常生活における食事内容に関して医療者側がより適切な情報を提供することおよび患者の自助によるQOL向上を支援することを目的としている。研究内容は東京医科歯科大学倫理審査委員会の承認を得ており,調査研究においては倫理的配慮と情報保護を徹底する。対象者は東京医科歯科大学歯学部附属病院顎口腔外科で手術を施行され現在外来にて経過観察中であり調査研究への書面による承諾を得られた患者とする。UW-QOLおよび山本の咬度表で構成される質問票でQOLと咀嚼状態や食事の内容を調査し,臨床要因らも含め評価,分析する。


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金沢大学附属病院
耳鼻咽喉科・頭頸部外科


室野 重之
「頭頸部癌に対する化学放射線治療後の食生活の質に関する検討」
頭頸部は発声・嚥下に関与する器官である。進行頭頸部癌に対して臓器温存を目的に化学放射線治療を施行する機会が増えてきている。しかしながら、形態の温存は必ずしも機能の温存を意味せず、唾液分泌障害、味覚障害、嚥下障害などを認めることも少なくない。本研究では、化学放射線治療の前後において、治療に伴う粘膜炎、唾液分泌、味覚障害、食生活の質、を自覚的および他覚的に評価することにより、治療後の食生活を向上させるための一助とすることを目的とする。


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東京大学大学院 医学系研究科
健康科学・看護学専攻
母性看護学・助産学


春名 めぐみ
「妊娠中の栄養摂取量の自己申告値に与える影響要因に関する研究」
現在,多くの妊婦の栄養調査がされているが,妊娠期特有の過小評価や過大評価を考慮し評価できる栄養調査方法は存在しない。自己申告による栄養調査では,妊娠期はつわりや体重増加への懸念などの要因が加わり,一般成人とは異なる過小評価,過大評価の可能性がある。そこで,妊娠中の栄養摂取量を可能な限り正確に評価する方法を検討するために,妊婦の栄養調査における自己申告値に与える影響要因を明らかにすることを本研究の目的とする。妊娠中のエネルギー摂取量を正確に評価することは困難であるため,栄養素摂取に関連するバイオマーカーを用いて,自己申告による食事摂取量との差異を比較検討し,過小評価・過大評価を査定する。他に心理・社会学的要因についても検討することを計画している。


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九州大学健康科学センター


林 直亨
「顔面皮膚血流の変化からおいしい顔を探索する試み」
味覚刺激は文化や人種,個人差を超えて,味に特異的な共通の表情をもたらす.このことから,顔面の皮膚血流にも味覚に特有の変化があると予想される.本研究では,おいしいと感じる味刺激および基本味に伴う特有の顔面の皮膚血流の分布を明らかにすることを目的とする.顔面の皮膚血流が味覚特有に変化することが明らかになり,その変化の特徴を抽出することができれば,味覚の客観評価の新たな手段となることが期待される。


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公立大学法人新潟県立大学


佐々木 亜里美
「やせ型の大学生における生活の質の評価および食事内容、生活習慣および生活習慣病の関連」
本研究ではやせ型の大学生のQOL(社会生活機能、活力、心の健康の程度等)の評価を行い、背景にある栄養摂取量、生活習慣、健康状態(貧血、高脂血症等)との関連を検討する。人が充実感や満足感を持って日常生活を送ることができるQOLの評価は、高齢者や肥満など各疾病別にはされているが、やせ型ではほとんどない。やせ型の増加は社会的風潮であり、健康な精神・身体を保つための対策づくりをサポートできる研究としたい。


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