長崎県立大学大学院
人間健康科学研究科
山本 亮
「「肥満遺伝子認知が食意識・食生活状況に与える影響」」

◇助成研究評議委員

研究計画に書かれた内容がこの予算で達成できるとは到底考えられません。現実味に乏しい計画であると思います。自分の力量、時間、予算を現実的に考え、「できること」を厳選して、「ごく小さなものでじゅうぶんなので」堅実な結果を堅実に出していただくことを期待したいと思います。

◇助成研究評議委員

遺伝子分野の進歩は素晴らしく、検体採取も受診者の負担もなく簡便に行えて、DNA解析も正確かつ精密になされるようになった。このような技術的な進歩の時代に、各個々人が自分の遺伝子背景を知りたいという要望も多く聞こえる時代である。 

現在の国民健康問題では、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症を中心とするメタボリックシンドロームに注目が集まっている。本計画書のような遺伝子解析を受けて、それを背景としてその後の食習慣を中心とする生活習慣を改めることが、その受診者の将来的な健康維持には極めて重要なことである。欧米各国ではすでに、遺伝子解析結果を実際の栄養指導に生かす試みがなされている。日本人のために、日本での食生活に基づいた栄養指導を、どのような遺伝子背景の人に行うべきか即刻おこなうべき研究課題である。

本研究は、若い研究者が大きな組織の一員として行うものであっても、積極的に支援したいものである。人間ドック、健康診断の分野の若い受診者の方でも、ご両親などご先祖の方々のご病気を意識して、ご自分の遺伝子背景への関心は高い。

◇助成研究評議委員

申請者は大学院修士課程の学生さんですが、明確な目的を持って研究に取り組み、きちんとした申請書を書いていることを評価しました。ただ、申請書に書かれている内容全てを、申請された額で1年以内に一人で実施するんのは不可能だろうと思います。応募期間の1年間に何をどこまで行うのか、また研究体制(支援者)についても、今後は明記された方が良いのではないでしょうか。

◇助成研究評議委員

肥満は遺伝によるものか環境によるものか、という二者択一的研究ではなく、個人が遺伝子認識を得た際に「食生活」にどう生かせるかという課題設定は、若々しく新しいと感じた。大きなテーマであり、どこまで実現できるのかが難しいが、チャレンジしてほしい。