2025年度助成研究SUBSIDY WORK

(50音順・敬称略)

研究者所属および氏名 研究テーマおよび研究概要
【チャレンジ部門】
徳島大学大学院医歯薬学研究部疾患病理学分野


清水 真祐子
高齢者施設における非常時の栄養供給に関する課題の調査
徳島県内の老人保健施設を対象に非常食の備蓄実態を調査し,"備蓄は整っていても高齢者の健康課題に対応しきれていない"という仮説を検証する.また,学生の参画を通じて,地域の実情に即した課題の共有や防災意識の醸成を図ることで,将来的な人材育成や地域連携を促し,持続可能な備蓄体制の構築につなげる。
【チャレンジ部門】
ノートルダム清心女子大学 大学院
人間生活学研究科 食品栄養学専攻

常谷 春花
身の回りの水環境における病原性微胞子虫の探索
微胞子虫は偏性細胞内寄生性の真核生物で、ほぼ全ての動物が宿主となり得る。近年ヒトへの感染が報告されている。岡山県内の浄化センターから、全身感染性微胞子虫が高頻度で検出されており、水や食品を介した感染が示唆される。本研究では、河川や用水路から水を採取し、微胞子虫DNAの存在量を分子生物学的手法で推定する。
【チャレンジ部門】
公立大学法人 福岡女子大学 国際文理学部 食・健康学科

西川 優
暑熱環境下においてグルタミン添加飲料の事前摂取が運動時の体水分量に及ぼす 影響
猛暑日の増加に伴い、熱中症予防のため、運動開始までに体水分量を十分に高める効率的な水分補給法の確立が求められている。本研究では、持久的競技者を対象に非必須アミノ酸である"グルタミン"の、腸管における水分・ナトリウムの吸収促進作用に着目をし、前日夜~運動前にグルタミンを摂取することで、運動時の脱水さらには消化器系の不快感を予防できるかどうかを検証する。本研究を通じて夏季のスポーツ現場における熱中症対策のための新たな水分補給戦略を提案する。
【チャレンジ部門】
ノートルダム清心女子大学 人間生活学部 食品栄養学科


須賀 瑞希
食と健康に関する一般書における「日本人の食事摂取基準」の引用実態と適切性 の検討:経時変化の評価
日本では食と健康に関する一般書が国民の主な情報源だが、信頼性の高い情報が不足している場合がある。科学的根拠に基づく「日本人の食事摂取基準」の適切な引用が求められるが、その方法や内容の適切性は未解明である。
本研究は、先行研究で特定された書籍と最新書籍を対象に、食事摂取基準の引用形式、記載内容、文脈の正確性を分析し、課題と適切性を明らかにする。
【チャレンジ部門】
公立大学法人神奈川県立保健福祉大学

田中 琴音
中学校給食の導入が生活保護世帯の中学生の医療利用に与える影響:差分の差分析
学校給食は、特に貧困家庭の子どもの栄養改善に寄与してきた一方で、医療データに基づいた健康効果の実証は少ない。本研究では、医療費の自己負担がない生活保護世帯の中学生に着目し、受診抑制といった経済的要因を排除したうえで、中学校給食の導入が健康に与える影響を福祉事務所のデータにより検証する。
【研究グループ部門】
岡山大学・学術研究院環境生命自然科学学域(理学部生物学科)

林 姫花
胎児期アンドロゲン環境を反映する指長比と味覚特性の性差から食の好みを予測す る:個別化栄養指導に向けた指長比と味覚特性の連関解明
実験動物(ラット)を対象に、「指の長さが好きな味を決める」という画期的仮説を検証する。胎児期アンドロゲン環境を反映する指長比(2D:4D 比)と味覚特性の性差・連関を解明し、動物実験で分子神経回路レベルのメカニズムを検証する。これにより、指長比に基づく個別化栄養指導の科学的基盤を構築し、個人の指長比から最適な食事を提案する次世代栄養指導により、一人ひとりに合った食生活で健康寿命延伸を実現する。
【研究グループ部門】
藤田医科大学 医学部
臨床栄養学講座

飯塚 勝美
食事様式"箸先五分、長くて一寸"と食事時間の関連についての検討
肥満予防ではゆっくり食べることが重要とされる。我々のこれまでの検討では、食事時間は一口回数と正の関連が見られることを明らかにした。日本には、箸先五分、長くて一寸という食事様式があり、この様式を守っている人の方が一口に入れる量が少なく、食事時間も時間をかけるようになるという仮説を立てた。そこでテスト食 (大きさの異なる豆腐、ご飯)を用いて、本仮説を検証する。