【一般部門】
信州大学大学院

百武 愛子
「「家族共食の頻度が思春期児童の抑うつ傾向に与える影響」」

◇助成研究評議委員

うつは今や大きな健康問題・社会問題になり、それは思春期の子どもたちにまで拡大しています。そして、こころの健康問題は個人のなかだけでなく(それよりも)社会との関わりのなかで考え、解決していかねばなりません。家庭はもっとも小さな社会です。そして、食事は人と人とが接する主要な機会であり、同時に、リラックスする(すべき)場でもあります。身体やこころへの家庭共食の好ましい影響はよく語られますが、それを科学的・実証的に測定した試みは意外に乏しく、その意味で、この研究への期待はとても大きいものがあります。

◇助成研究評議委員

米国などでは、家族との共食の頻度が高いほど思春期児童の生活満足度が高く抑うつ傾向が低いことがわかっている。文化や家族のあり方が、米国とは大きく異なる日本においてもそのことが当てはまるのか、興味深いテーマである。ただし、マスコミなどで安易に語られがちな「だから母親は家庭にいて子育てに徹するほうがいい」というような結論に、非科学的に陥ることのないように望みたい。逆に、それが証明できるのであれば、科学的な証拠がほしい。

◇助成研究評議委員

健康日本21(第2次)の目標にも掲げられている「共食」がテーマであり、家族との共食が特に心の健康にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることは、食育推進や公衆栄養学上非常に重要なことである。ただ、調査内容が児童と保護者の個人情報に関わることであり、学校関係者の理解と協力が得られなければ、1,000名のデータを集めることは難しい。調査票と調査方法に無理がないよう工夫を行い、調査対象者数の確保に努めて頂き、研究成果が得られることに期待したい。

◇助成研究評議委員

小学校に通う高学年の男女児童とその保護者1,000組を対象とする調査表での検討を行う研究である。 目的は家族共食の頻度と小学生高学年の児童の抑うつ状態との関連について検討することを目的としている。
家族との共食の頻度が高い児童は低い児童と比べて、抑うつ傾向が低いという印象を持っていることから、今後の食育の重要な根拠を求めている研究である。