【一般部門】
静岡県立大学 食品栄養科学部
臨床栄養管理学研究室
佐久間 理英
「「若年者における日常的なリン摂取量の評価および高リン摂取をもたらす食事内容の検討」」

◇助成研究評議委員

リンは、心血管疾患の危険因子であると危惧されているが、加工食品中の含有量が明らかではないために、摂取量が不明のままである。佐久間氏らは、24時間畜尿法によって、リン摂取量を測定する可能性を見いだしてある。冷静な研究によって、巷間いわれている“食の欧米化や加工食品の増加がリンの過剰摂取の原因となっている”というのが事実であるかどうかを、科学的に見極めてほしい。

◇助成研究評議委員

現代日本では、たんぱく質源食品や加工食品の摂取が多くなっており、リン摂取量は増加していると想定され、特に若者にはその傾向が強いと考えられるが、リン摂取量に関する報告はほとんどみられない。本研究では若者を対象に、24時間蓄尿と食事調査を行い、リン摂取量の実態を明らかにし、食習慣との関係を解明しようとするもので、その成果が期待される。

◇助成研究評議委員

空腹時の血液検査指標は正常範囲内でも、食事をはじめとする生活習慣によって、若年期からすでに代謝異常を生じている人がいることに注目し、若年期からの食事指導の重要性に注目していることを強調している。 そして、食事摂取頻度の調査を行った結果から、加工食品や市販食品の摂取頻度が高い人が多くみられ、リンを過剰に摂取している可能性に注目し、24時間蓄尿法を用いたリン摂取量の推定式を考案している。 そして、血中リン濃度の上昇は、慢性腎不全患者において心血管疾患の危険因子であると周知されていることから、この抑制を目的とする研究へと考えを進め、高リン摂取をもたらす食習慣を解明することで、血管障害の抑制に有効な食事内容を提唱することを目的と
している。