【チャレンジ部門】
京都大学大学院農学研究科
生物資源経済学専攻
野間 万里子
「「1910-20年代の牛肉普及・拡大に見る健康意識と食の楽しみ」」

◇助成研究評議委員

歴史に学べば未来が見えます。特に日本は明治維新以後、西洋諸国の影響を強く受けて生活が変化してきた国のひとつです。食生活では戦後の変化が注目されがちですが、その前の時代の変化に着目した点を高く評価し、興味深い結果が得られるのを楽しみにしています。

◇助成研究評議委員

1910-20年代における我が国の食習慣を振り返り、食生活の変更の状況を牛肉食の量的把握を中心に、行おうとの研究である。 牛肉食を受け入れた人々の視点から、健康意識と食の楽しみの有り様を解明すること狙っている研究である。 これまでの研究で申請者が解明したという朝鮮牛移入が、肉食の底辺拡大と関わっているという史料から裏付けようと考えているようである。

◇助成研究評議委員

約1世紀前の1910-20年代の食と健康意識を、牛肉普及に焦点を当て、当時の資料や雑誌等を用いて情報を収集・分析しようという、ユニークで興味深い研究である。肉食にまつわる日本人の食生活や食意識の変化、あるいは日本食文化殿関わり等、食の歴史学という新分野からの視点と成果に期待している。

◇助成研究評議委員

牛肉が「食べ物」として日本人に受けいれられて以来、私たちの食文化は大きな変貌を遂げた。ただし、日本人の「牛肉の食べ方」は、欧米のそれとは大きく異なり、日本独自の発展を続けている。一方で、BSEや口蹄疫など、肉食ゆえの深刻な問題も同時にはらんでいる。牛肉を「食べ物」としてだけではなく「食文化」あるいは「娯楽」としても捉える本研究は、チャレンジ精神に満ちた意欲的な研究だと考える。