【一般部門】
東京工業大学社会理工学研究科
人間行動システム専攻

林  直亨
「早食いが体型に与える影響―食べる早さの改善は肥満予防につながるのだろうか?―」

◇助成研究評議委員

早食いが良くないとの意見はよく聴かれるところであるが、実際に多角的に検討した研究が極めて乏しい点に注目した企画であり、興味深い問題提起である。 一定量の食べ物を食べるのに要する時間および咀嚼回数と、BMI、体脂肪率および体重との関係の有無を客観的に明らかにしようというものである。 同じ大きさおよび味のおにぎりを一つ与えて、被験者が食べる様子をビデオ撮影し、その解析から、咀嚼回数と瀬食時間の計測をデータとしての分析にまわすという比較的単純な方法である.しかし、150名程度の女子大学生を被験者にするという規模は大きいことから、導
かれる成績に期待したい。ただ、この結果からどのような判断が下す事が出来るかを考えるとそう新しい科学的な傾向を導き出せるとは思い難いことも想像される。

◇助成研究評議委員

「早食いは太る」「食べるスピードを遅くすれば肥満予防になる」ということはよく耳にする。しかし、そもそも「早食い」の基準でさえ、現状では、科学的に明らかになっているとはいえない。林氏の研究は、このような“古典的でシンプルなテーマ”に正面から取り組んでいる。個々の事情が影響しやすい「食べるスピード」を、どのように客観的に捉えることができるか、注目したい。

◇助成研究評議委員

「早食い」かどうかを、食べる早さや咀嚼回数で客観的に評価することができれば、「ゆっくり食べましょう」という健康教育に、その指標と科学的根拠を提供する有意義な研究と考える。早食いと体型との関係についても、主観的に何となくではなく、客観的根拠に基づき、その関係を明らかにすることは重要であろう。論文化に結びつく成果に期待したい。