【一般部門】
大阪大学大学院歯学研究科
口腔外科学第一教室
辻 忠孝
「「食のおいしさが糖負荷後の血中糖動態・ストレスへ及ぼす影響」」

◇助成研究評議委員

食後の糖動態が単に食事量に依存するのではなく、味覚や嗅覚情報・嗜好性・摂食方法に依存しているがあるとの考えを持つことは、極めてユニークな発想であり、ヒトにおいて味覚や嗅覚情報を実験的に遮断することによって食後の糖動態に及ぼす影響を調べようと試みである。
ヒトによる実験の計画はその結果が待たれること大である。しかも摂食促進ペプチドであるOrexinの作用との関連性の検討も視野においていることにも期待大である。また、唾液血清中のアミラーゼ値の測定から、食の満足度をVASスケールを用いて評価することについても興味深い。

◇助成研究評議委員

栄養成分や摂取エネルギー量が、食後の血中糖動態に影響を与えることは当然であり、多くの研究がある。しかし、食べ物の「おいしさ」が食後の血中糖動態に何らかの影響を与えるとは、にわかには想像しづらく、ハードルの高そうな研究である。よい結果が得られれば、摂食障害のある患者にとっては画期的な朗報となる可能性を秘めている。

◇助成研究評議委員

食後の糖動態について、食物の種類や食事量だけでなく、味覚や嗅覚、嗜好性、摂食方法の影響を受けていることを明らかにしようという、口腔外科医師ならではの研究である。摂食障害を有する高齢者や有病者の栄養アセスメント、栄養ケア・マネジメントに必要不可欠な基礎研究であり、研究成果に期待したい。