【チャレンジ部門】
神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科 飯田 綾香 「NASHモデルマウスの肝障害進行に及ぼす分岐鎖アミノ酸投与の効果」 ◇助成研究評議委員 アルコール摂取もなく、肥満もみられない被験者に超音波検査の成績から、脂肪肝と診断される症例はよく遭遇するものである。 しかし、肝臓組織を生検することによって、組織学的に検査を行うと、そこには単に脂肪の沈着を見るだけではなく、肝硬変にまで進行する可能性も否定出来ない線維化が進行していることもよく見られるものである。肝臓の臨床の分野では、今後は新たに発症するB型、C型のウイルス性肝障害は極めて少ないことが期待される今日では、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎は大きなテーマになっているこのごろである。従来、肝硬変などの重症肝障害に有効との評価を得ている分子鎖アミノ酸投与の有効性をNAFLD、NASHについても検討することを多くの施設でも検討している時代である。 ◇助成研究評議委員 脂肪肝や肝炎と聞くと、「お酒の飲みすぎ」を想像する人が多いかもしれないが、実は、非アルコール性脂肪肝の患者数は1,000万人近くいると推定されている。そのうち約1割が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)へと進行すると考えられている。分岐鎖アミノ酸の投与が、重症肝疾患のみならず、NASHに対しても有効であるかどうかを、マウスの実験で確かめる研究。当研究所の助成対象は「ヒトの研究」であることを原則としているが、「チャレンジ枠」としては、このような動物実験も対象となると考える。 ◇助成研究評議委員 モデルマウスを用い、分岐鎖アミノ酸が非アルコール性脂肪肝(NASH)の発症抑制や進展抑制に有効か否か明らかにする研究であるが、最終的に臨床現場におけるNASHの治療に役立つ成果が得られることを期待したい。また、今回助成を受けたことが、今後の研究の励みになればと願っている。 |