立命館大学スポーツ健康科学部

後藤 一成
「「食事の速度は食後の血糖値および食欲調節ホルモン応答と関連するか?」」

◇助成研究評議委員

食事のスピードや咀嚼の回数、などを、食欲の抑制に関与するホルモン(GLP-1)と結びつけて検討しようという興味深いテーマでした。そして食事の摂取速度の相異に伴う血糖値の変動や食欲調節に関わる内分泌応答の変化を検討することを目的とすると謳っていたが、実際の今回の報告書では、男性9名のみを対象としてアイスクリームを試験食として、血糖値の測定とGLP-1の測定を市販キットで行っただけで、インスリン濃度の測定は、外注で行っただけで、研究結果の判断を行っているのは、なんとも納得しにくい報告に思われます。

◇助成研究評議委員

食事の速度と「食後血糖値の上昇との関連」のみならず、食事の速度と「食欲調整ホルモン応答との関係」にまで踏み込んだ研究ということで研究助成対象となったが、後者については研究の踏み込みが充分ではなかった。また、申請段階では、研究費の使用計画も明快であったが、最終報告ではそのあたりが必ずしも明確ではなく、研究対象者の人数も計画と比較して不充分であったという課題を残した。

◇助成研究評議委員

当該助成金に対する成果報告としては、不十分な内容と言わざるを得ない。まず、対象者数が計画書の50名から9名と激減しており、個人差が大きいヒト研究の成果報告が可能な人数に達していない。また、助成金の使用用途が不明瞭で、本来の目的に活かされなかったことが残念である。ヒト研究には、誠実さと真摯に取り組む姿勢が不可欠ではないかと考える。