富山短期大学専攻科
食物栄養専攻

田渕 英一
「「発芽玄米摂取によるアレルギー性鼻炎に対する治療効果の検討」」

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

アレルギー性鼻炎は、日常臨床でよく遭遇する疾患であるが、深刻な臨床症状へと進行するものではなく、とかく一時的な対症療法にて過ごされていることが多いものである。しかし、患者ご本人にとっては通年的に繰り返す症状は可なりの苦痛に悩ませれる結果となっている。日常的な食事を代えることによって、これを回避出来るならば、その有用性は極めて高い。
 本研究では、日常摂取する主食に発芽玄米を用いることの効果を検討するものである。発芽玄米には豊富な栄養成分の含有されていることから、免疫力、抵抗力の向上も期待されており、近年その流通も豊富になってきた食材である。対象者に投与する発芽玄米の原価の半額を本研究助成に期待している。

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

発芽玄米には免疫力や抵抗力が向上する可能性、さらには抗アレルギー作用があるといわれているが、実際にヒトが摂取することで効果があるかどうかは確かめられていない。アレルギー性鼻炎の子供に発芽玄米を長期間与えて、その効果を確かめるという根気のいる研究である。
とりわけ、子供(6歳~18歳)から長期間にわたって血液を採取することは、被験者に大きな負担を課すことになるため、研究計画は立案できても、実施するのは大変であると推測する。田淵氏は、すでにそのフィールドの準備が整っているようなので、堅実な研究を期待したい。

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に対する、発芽玄米摂取の治療効果を実証できれば、薬ではなく食物でアレルギー症状を軽減させ、患者のQOLを高め、医療費の削減にも寄与し、大きな社会貢献が期待される研究である。しかし、介入研究による実証には、対象と評価指標の設定、試料提供方法、継続摂取と定期的受診等対象者の協力が不可欠であり、効果検証には1年以上の研究期間が必要で、本課題は3年間の継続研究である。このように長期間の苦労がともなう介入疫学研究だからこそ、発芽玄米摂取によるアレルギー症状の軽減効果の検証結果が期待される。