東京慈恵会医科大学
総合健診・予防医学センター


和田 高士
「「朝食の欠食・むらはメタボリックシンドロームを発症させるのか?」」

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

メタボリックシンドロームは、2005年の日本内科学会を中心とする臨床学会での注目と大衆への啓蒙とが相まって、総合健診・疾病予防の分野でも大きな研究テーマとなっている。特に、どのような日常的な習慣が関与するかの検討と、その是正に向けての対応への指針は一刻も早いことが望まれる。
 本研究は、健診を専門とする分野で、日常の朝食の欠食、そして食べたり食べなかったりのむらが、メタボリックシンドロームの発症にどの程度関与しているのかを、4年間の経過観察からの検討することを目的としている。
 規則的な朝食摂取の意義とメタボリックシンドロームに関連する因子の発症予防とが明らかになることを期待している。

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

著名な「ブレスロー博士の7つの健康習慣」の1つに「朝食を毎日とる」というのがある。毎日朝食を食べることは生活習慣病の予防に役立つというのが、常識とされている。しかし、和田氏は自らの研究で「朝食を毎日食べることは、少なくともメタボリックシンドロームの発生予防効果にはつながらない」ことを明らかにした。
 和田氏は、むしろ「朝食を食べたり食べなかったりというムラ」のほうが、メタボリックシンドローム発症と深い関係があると推測し、それを研究テーマとしている。個人的には「ムラがなければ、毎日朝食を食べなくてもメタボリックシンドロームの発症には何ら影響を与えないのか」に興味がある。

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

メタボリックシンドロームの発症には、朝食摂取の有無より、摂取したりしなかったりという不規則性の影響の方が大きいのではないか、ということを、人間ドックを受診した成人約8000名/年を対象に、4年間経過観察した結果に基づいて明らかにしようという、ユニークで有意義な研究である。足達氏と同様、これまでの診療や研究過程で構築された貴重なデータを活かして解析を行う分析疫学であり、経験豊かな専門家だからこそ、最小限の経費で有益な研究成果が得られるのではないかと期待している。