東京医科歯科大学医学部
臨床教育研修センター・神経内科 山脇 正永 「「「おいしさ」の客観的評価方法の開発:脳機能からみた「おいしさ」の解明」」 ◇助成研究評議委員 ◇助成研究評議委員「おいしさ」の脳内表現を、客観的な評価方法をもって明らかにしようとするユニークな研究計画である。高齢者を含めた嚥下障害患者が「いつまでもおいしく食べられる」食品の開発につなげようという基礎的データを求める観点である。 65歳以上の高齢者を含む50例を対象として、脳機能の測定のために光トポグラフィ装置を用い、嚥下に関しては舌圧計を使用するとともに、嚥下筋表面の筋電図との同時計測も行う計画である。味覚の基本要素(甘さ、苦さ、塩気、酸味、うまみ)の脳内表現パターンとの比較をして分析を行うという。 今後の食品開発などに極めて有用な新視点の情報が得られる可能性が高く、積極的に研究の支援を行うことに賛成である。 ◇助成研究評議委員 ◇助成研究評議委員栄養摂取と「おいしさ」は深く関係することが容易に推測できる。しかし、「おいしさ」は主観的な感覚・表現であるため、第三者が、「摂食者がおいしく感じているかどうか」を正確に把握することが難しい。とりわけ、おいしさの表現を正確にできない人(たとえば認知症患者等)にあっては、真に摂食者が満足する食事になってはいない可能性も少なくない。 本人の主観的表現ではなく、脳機能活動を観察することによって、「おいしさ」を客観的に評価しようとする積極的な研究であり、期待したい。 ◇助成研究評議委員 ◇助成研究評議委員通常の官能評価では困難な「おいしさ」の客観的評価が、脳活動パターンの観察で可能になれば、食品の開発や評価に非常に有効であり、興味深い。また、「食べやすさ」との関係も明らかになれば、高齢者や嚥下障害者の食品・食物の開発や評価にも活用可能であり、食品加工業界への寄与が大きく、その成果に期待したい。 |