久留米大学医学部
地域医療連携講座(心臓・血管内科)


足達 寿
「「習慣的なコーヒー摂取は、心拍数を減少させ、全死亡を低下させる」」

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

メタボリックシンドロームに関連して、インスリン高値と高心拍数に注目し、癌死に次ぐ死亡原因である脳・心血管疾患と、愛好者が増えているコーヒー摂取量の疫学的調査の計画である。タイムリーな興味深い研究である。
本研究では10年前の受診者について、10年間の全死亡や冠動脈疾患死が、習慣的なコーヒー摂取によって減少させていたか否かを検討するとしており、日常の血圧値と心拍数が疾患の予防の単なる結果ではなく、原因であるという因果関係までも明らかにしうるという期待をこめているところも評価したい。

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

血圧、血糖値、中性脂肪やコレステロール等の数値が、生活習慣病と深く関係していることはよく知られている。これらよりも身近で、しかも誰にでも簡単に計測可能であるにもかかわらず、「心拍数」については、生活習慣病との関連はそれほど明確になってはいない。
習慣的コーヒー摂取→心拍数減少→全死亡低下という因果関係を証明するのは容易ではないと推察するが、研究テーマとしては面白い。「コーヒーに含まれる成分」ではなく「習慣的なコーヒー摂取」という点も、興味深い。

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

習慣的なコーヒー摂取が、インスリン抵抗性を改善させ、心拍数を減少させて、全死亡や冠動脈疾患死を抑制するといえるのか否か、約2000人を対象に10年間追跡した大規模疫学調査データを用いて解析を行うことは有意義だと考える。特に、10年間で約200人の死亡が確認されている由、その解析結果は興味深く、是非論文化していただきたい。