東北大学大学院医学系研究科
先進漢方治療医学講座

武田 卓
「「思春期女性の月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)の現状と食習慣との関連についての検討」」

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

女子高校生の2700名を対象にして、思春期女性の月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)の現状と食習慣との関連を、自記式PMS・PMDDスクリーニングツールであるPQSと食習慣については自記式食習慣アセスメントであるBDHQを用いて調査をする研究である。抗うつ剤や避妊ピルなどの薬物治療を行い難い思春期女性に対して、食習慣の改善によって症状の軽快をみることは意義が大きいと述べている。魚脂肪に含まれるn-3系不飽和脂肪酸の気分障害に対する改善効果を期待しているとのことである。申請書類にある調査結果から、このような症状の原因・治療効果が食生活の改善であることから得られるならば、結構なことである。

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

成人女性を対象にした月経前症候群や月経前不快気分障害の研究は比較的見られるが、思春期女性を対象にした研究は少ない。思春期女性にあっては、症状を訴えにくかったりするなどの要因で重症化するケースが少なくない。 成人女性とは異なり、避妊ピルなどの薬物療法を取り入れにくいなど、思春期女性特有の困難さがあることが知られている。一方で、酒やタバコなどの嗜好品の影響、あるいは結婚・出産などの社会的因子の影響が少ない思春期女性では、食習慣の影響が大きいと推測され、食習慣の改善による治療にも期待ができそうだ。

◇助成研究評議委員

◇助成研究評議委員

思春期女性に多いと言われる月経開始前の不快気分障害と、食習慣との関係が明らかにされれば、食生活の改善でそれらの症状が軽減される可能性があり、思春期女性のQOL向上に大きく寄与するものと考えられる。高校生約2700名を対象に、きちんと調査計画が立てられているので、その成果に期待したい。