食べることは、生きること やずや 食と健康研究所

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心とからだを癒す「共食」の習慣 -共食・孤食習慣と疲れに関する調査-

結果から

孤食の機会が多いほど、 不眠や憂うつな気持ちなどのストレスや疲れの症状を感じる人が多い。

データからは孤食の習慣が心身の健康とかかわりがあるように見えます。もちろん孤食がすなわち健康を害すると結論付けられるわけではありません。別の要因としては、忙しいから孤食が多い、同時に忙しいから疲労・ストレスを感じるという結果になっているとも推定できます。そういう意味では、できるだけ時間の余裕をつくり、家族や友人たちと「共食」する機会を増やすことが、心とからだを癒して健康の維持に貢献するのではないかと考えられます。

考察

佐藤達夫(食生活ジャーナリストの会代表幹事/やずや食と健康研究所助成評議員)


意外ではあるが、ある意味「救われる」

「子供の孤食」がNHKで取り上げられて大きな話題となったのは、今から25年ほど前のことだと記憶している。当時10歳だった子供は、今は35歳になる。彼ら(彼女ら)はずっと一人で食事をしてきたのだろうか、と思うと心が痛む。
私個人の実感としても、20歳代、30歳代、40歳代の人たちを食事に誘っても、昔のように気楽に応じてはもらえないことが多くなった。もしかすると若い人たちは、一人で食事をする習慣が身についてしまったために、誰かと一緒に食事をとることよりも、「一人で食事をするほうが心が休まる」のかもしれないと、かってに推察していた。
しかし、今回の調査で、「一人で夕食を食べる頻度が高いほど、身も心も休まらない」という結果をはじめて知り、意外な印象を受けた。若い人たちも、家族や友人や知人と一緒に食事をするほうが楽しくもあり心休まるのだということがわかり、そういう意味では救われた気持ちがする。一人で食べるほうが幸せだと考えるのでは、あまりにも寂しいからである。
それにしても、40歳代男性の約4割が夕食を一人で食べているという事実は、想像をしていたよりもはるかに多く、驚かざるを得ない。今、公衆衛生の世界では30歳代・40歳代の男女(とりわけ独身者)の「老後」が心配されている。この時期の食生活が乱れているために、老後の健康状態が、現在の老人よりも劣るのではないかという指摘がされているのだ。
今、日本では、健康のためにあるいは安全のために「何を食べればいいか」が大きな課題となっている。私は、同時に「どれだけ食べるか」あるいは「どうやって食べるか」も、健康を左右する大きな要素だと考えている。加えて、今回の調査では、今まで健康との関連ではあまり考えられてこなかった「誰と食べるか」ということの重要性も示唆されたことになる。
報告書にもあるように、今回の調査だけでは「孤食をするから健康を害する」と結論づけることは、もちろん、できない。今後、孤食と喫煙、孤食と栄養バランス、孤食と外食・中食の頻度などの関係も知りたくなる。ただし、好きこのんで孤食をする人は少ないだろうから(そのことが今回の調査で明らかになった)、「なぜ孤食せざるを得ないのか」という問題にも踏み込んでほしいところである。

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