滋賀医科大学
社会医学講座 公衆衛生学部門
藤吉 朗
「「死亡リスクが最も低い総摂取エネルギーに関する疫学的検討 」」

◇助成研究評議委員

食べ過ぎ(エネルギー摂取過多)による肥満の問題が大きくなってきているが、エネルギー摂取量の多少が生命予後に与える影響を疫学的に探究する研究は、その方法論の困難さのゆえに、極めて少ない。この研究は既存のデータを有効に活用することを目的としたユニークなものであり、高く評価できる。新たな知見を期待したい。

◇助成研究評議委員

エネルギー摂取制限が寿命を延ばすことが動物レベルでは確認されているが、あくまで適度な制限であるべきで、ヒト、特に日本人にとっての適量がどの程度なのか興味深いテーマである。

しかし、疫学的にはサンプリングや個人情報の管理、情報収集に要する時間・費用・労力、等々課題が多く、通常は困難なテーマでもある。申請者は幸い、日本人男女を代表するコホートであるNIPPON DATA を用いて研究ができる立場にあることから、貴重な既存データを活用した有意義な疫学研究に期待したい。

科学的根拠に基づく、「死亡リスクが最も低いエネルギー摂取量」を明らかにし、是非論文として発表して頂きたい。

◇助成研究評議委員

研究課題名を見ると、すでに研究しつくされているかに思えるほど、普遍的な研究だが、動物実験ではなく、ヒトを対象にして「死亡リスクが最も低い総摂取エネルギー」を調べることは容易ではない。加えて、エネルギー摂取制限がヒトの寿命を延ばすという仮説を実験で証明することは不可能に近い。NIPPON DATAという大規模コホートのデーターからそれを探ろうという藤吉氏の研究は、意義深い。

また、同氏の年齢や現在の立場からみて、他からの助成は受けにくいであろうと推察し、研究成果を期待したい。