東京女子医科大学
糖尿病センター
中神 朋子
「「特定検診の要支援群に対する既存の生活習慣介入法の血糖降下作用の評価」」

◇助成研究評議委員

本年度4月から開始された特定健診・特定保健指導においては、空腹時血糖値を100mg/dL 、HbA1C を5.2 % 以上を要支援対象者としている。これらの対象者に対して、糖負荷試験を施行し、糖尿病者と糖尿病予備軍とを診断し、それぞれに適切な指導を施すことは不可欠である。



本研究者は、特定健診・特定保健指導において要支援群の介入として採用される手法が、肥満はあるがインスリン分泌障害をもつ IGF から糖尿病への移行阻止にどれだけ有効、あるいは無効かを検証することに注目している。

この研究者は医科大学の糖尿病を専門とするセンターに所属している糖尿病専門家である。本研究が特定健診の意義や方法を再検討し、これに対する改善策を見出せる可能性に期待した。

◇助成研究評議委員

特定健診・特定保健指導が今年度から始まったが、数年後にはその成果と課題を明らかにして、再検討が行われるであろう。申請者は糖尿病センターの医師として、特定健診・特定保健指導の要支援群に対して行われる介入手法の意義を明らかにすることを目的としており、その着眼、実施、評価手法、今後の見通しは全て、申請者のキャリアと現在の研究環境に裏付けられたものと考える。

特定健診・特定保健指導を有意義なものにするために、また糖尿病を予防し進行を抑えるために、有益な研究成果が出ることを期待している。

◇助成研究評議委員

2008年4月から開始された特定健診・特定保健指導(いわゆるメタボ健診)の基準の1つに、空腹時血糖値100mg/dl、HbA1c値5.2%が採用されている。しかし、特定健診の要支援対象者の85%は正常耐糖能を呈していることを、中神氏らは報告している。

糖尿病予備群に当たる人たちに対してブドウ糖負荷試験を実施することにより、特定保健指導で定められた生活習慣への介入法が有効であるかどうかを検証する。

国の定めた方針を見直す方向での研究は、文部科学省などの助成は受けにくいため、当研究所が助成する意義は小さくないと考える。