食べることは、生きること やずや 食と健康研究所

  • トップ
  • 研究所の理念
  • 研究所概要
  • 活動内容
  • 助成研究
  • 定期調査
  • お問合せ
  • プライバシーポリシー

  • 本物だけをまっすぐあなたへ やずや
城西大学 薬学部
医薬品安全性学講座  金本 郁男
「低GI食の最適な摂取タイミングの探索と食事指導への応用」

【評議委員のコメント】

金本氏は2007年にも、野菜サラダと米飯のどちらを先に食べれば食後血糖値の上昇を抑えることができるかというテーマで、当研究所からの助成を受けている。今回はその継続研究で、野菜サラダとカレーライスの摂食順序が食後血糖値にどのような影響を与えるかを調べたものだ。

日常生活により近い状況設定での研究は、関係する条件が複雑になるため、困難を伴う。前年の研究実績を踏まえた結果を期待した。

カレーライスと野菜サラダでは、野菜サラダを先に食べたときのほうが、カレーライスを先に食べたときよりも、食後血糖値が低くなることがわかった。次に、キャベツのあとにカレーライスを、酢+キャベツのあとにカレーライスを、オリーブオイル+キャベツのあとにカレーライスを食べたときの食後血糖値をそれぞれ計測して比較した。その結果、いずれの場合でも食後血糖値の明らかな差は認められなかった。

食後血糖値の急上昇を押さえるためには、カレーライスの前に食べるのは、キャベツ+酢+オリーブオイルという「野菜サラダ」が有効であることがわかった。

このような「現実的な研究」は、結果が出にくいためか頻繁には行なわれないのだが、金本氏には今後も質の高い論文として残るような研究を期待したい。

【評議委員のコメント】

カレーライス摂取後に野菜サラダを摂取するか、野菜サラダを摂取後にカレーライスを摂取するか、どちらが食後血糖値によい影響をもたらすかの研究である。前述の奥村氏の項で記載したような現在待たれる研究そのものであり、目的によく合致した計画調書であり、またそのとおりの研究がなされ、興味深い成績が報告書にはしるされている。さらには、サラダの素材である酢、オリーブオイル、キャベツの各単独では、どれほど食後血糖値に影響があるかの検討もなされており、個々の素材単独ではなく、野菜サラダにしたものの摂取後にカレーライスを食したほうが、その逆よりも推計学的にも有意であることを明確に示してある。極めて示唆の深い研究報告として高く評価した。

このような研究は単純なようであるが、その施行にあたっては研究準備、多くの理解者の協力など意外に大変な作業であることを理解したい。また、文部科学省の科学研究費など、従来からの研究助成などからは初めから目を向けられない研究課題である。本研究所助成こそ、このような点に充分目を向けて拾い上げて行くべきものと願っている。文献としてしかるべき雑誌に投稿・掲載された際には、奨励金の対象にふさわしいものと考える。