【一般部門】
山梨大学医学工学
総合研究部健康・生活支援看護学講座
宮村 季浩
「「認知症の人は何を「おいしい」と感じているか」」

◇助成研究評議委員

認知症の人たちに対して、われわれは「どうしたら食べるのか」といったような、食べさせる側の論理で考えがちです。ご本人はおいしいと思ってくれているのか? 自己表現がうまくできない方々を対象とする研究であり、とてもむずかしいと思いますが、社会的に重要なテーマであると感じました。

◇助成研究評議委員

 認知症患者に限らず健康人であっても「何をおいしいと感ずるか」あるいは「食べ物を本当においしいと感じているかどうか」を客観的に明らかにすることは、とても難しい。この研究では、どういう食べ物を「食べたい」と思うかが明らかになればいいのではないか。認知症患者は、健康人に比べて意思表示がクリアではないので、その判定の客観性も研究者の力量によるところが大きい。成果が楽しみな研究である。

◇助成研究評議委員

 認知症の発症数が増加している現在、食生活を含む日常の介護負担は甚大となっているが、認知症の方の嗜好を的確に把握することができ、本当に「食べたい」「おいしい」と思っていることがわかれば、介護の精神的負担の軽減に大きく寄与する。ただ、認知症本人から「おいしさ」の指標に関して正確な情報を得ることができるか、個人差を越え認知症に共通の評価指標を見出すことができるか、不確定で困難な要素が多い研究ではあるが、どのような成果が得られるか興味深い。

◇助成研究評議委員

 認知症患者の食感覚の研究である。 アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、認知症でない健常者の三組のそれぞれ15名程度を対象としている。
そしてそれぞれの介護者も研究の対象にしている。
現在と過去の好きな料理、食材、調理法、調味料、食事時間、回数、おいしいと感じる理由などについてインタビューで確認するとしている。 これを1年後、2年目にも予定したいという。