【チャレンジ部門】
東海大学医学部付属病院
外科学系口腔外科
青山 謙一
「味覚閾値の解析による食生活のスクリーニング法の開発」

◇助成研究評議委員

とかく食生活の改善ということが簡単に謳われているが、実はこの改善なるものを客観的に評価することは、そう簡単なことではない。 そのことに注目して、唾液と味覚閾値を解析して食生活の質を予測するシステムを構築することを目標とする研究である。
 唾液の採取は非侵襲的に簡便に行いうるものであるので、簡単である。 味覚検査は市販のキットを用い6段階に評価するとの計画である。 その他、唾液、血液の生化学的検査の施行により、各味覚閾値と唾液の電解質との関係なども検討するとの計画である。喫煙による味覚の変化、BMIと総蛋白およびアルブミンの相関なども検討され
るようである。 

◇助成研究評議委員

「うす味が好き」あるいは「脂っこいものは苦手」という人の嗜好が、必ずしもその発言通りとは限らないことはよくある。そのため、個人の味覚だけに頼っていたのでは、正しい食生活改善にはつながらない。味覚の感じ方を唾液によって判断しようと試みる研究。食事中の唾液の採取など、実施にあたっては難しい課題もあるが、チャレンジしてほしい。

◇助成研究評議委員

非侵襲的で簡便に採取できる唾液と味覚閾値により、食生活の質を評価できないかという、口腔外科の若手医師らしいユニークな研究である。先ず、唾液と味覚閾値の関係を明らかにし、それが食生活とどのように関わっているかを解析した上でなければ、食生活の質を評価するには至らないであろう。目的を達成するまでの道程は長いが、先ず唾液と味覚閾値の関係を明らかにすること、「食生活の質」の定義・特に何を評価すべきかを明らかにすることから、着実に研究を進めて行かれることを期待する。